【小説執筆】お仕事の実績サンプル⑧

こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

創作活動を細々と続けておりますが、執筆系のお仕事もさせて頂いております。

お仕事実績①
お仕事実績②
お仕事実績③
お仕事実績④
お仕事実績⑤
お仕事実績⑥
お仕事実績⑦

公開許可を頂いたものだけですが、上記以外にも幅広くお受けしております。
今回の記事では、また新たに公開許可を頂いたお仕事作品の一部を紹介させて頂きたいと思います。

異世界GL

サンプル公開

日本から異世界に転生したヒスイは、そこで出会ったオボロの妻となったが、実はオボロはヒスイと同じ女性であり妖怪だった。

当初はヒスイもその事実に困惑したが、夫が大好きな気持ちはずっと変わらず、結局今も夫婦として生活している。

二人が同性で、オボロが妖怪であっても、愛し合って暮らしていることは他の夫婦と何も変わらない。

他の夫婦と違うことといえば、夫婦になって十一ヶ月経っても未だにキスさえもしていないことだろうか。関係を進展させようとしたことはあったが、どちらも奥手過ぎて進展には至らなかった。

奥手過ぎて深い関係にはなれていないものの、ヒスイは夫と幸せな生活を送っていたが……。

(あれ?あれ?ここ、どこ?)

夕飯の買い出しに出ていたヒスイはいつものように帰宅しようとしたが、気づくと知らないところに迷い込んでいた。

ヒスイの目の前には赤を基調とした建物がたくさんあり、知らない場所だということはすぐに分かったが、ヒスイにはここがどこなのか見当もつかなかった。

ヒスイは少しのんびりしたところがあるので、きっと大好きな夫のことでも考えているうちに道を間違えてしまったのだろう。

かつてヒスイが生活していた日本とは違って、ここでは電子レンジもフライパンもない。早く帰ってご飯の支度をしないと、夕飯の時間に間に合わなくなってしまう。

ヒスイは急いで引き返そうとしたが、艶のある黒髪を綺麗に結い上げ、あでやかな着物を着た女性たちが目の前を通り過ぎると、彼女たちのあまりの美しさに思わず目を瞬かせる。

美しい女性たちが入っていった建物の中には、真っ赤な格子越しにたくさんの着飾った女性たちが見えた。

(わぁ……、綺麗な女の人たち……!
……あ、ここって、もしかして遊郭なのかなぁ?)

真っ赤な格子越しの遊女たちを見て、ヒスイもようやくここが遊郭街であり、さっきの女性たちが花魁であることに気がついた。

遊郭の存在はもちろんヒスイも知っていたが、実際に遊郭や花魁を見るのは初めてである。

物珍しさから辺りを見物していると、ひときわ美しい花魁と彼女によく似合いの凛々しい青年がヒスイの目に止まった。

美しい花魁と青年。
それだけだったら遊郭街ではありふれた組み合わせではあったが、青年の方がヒスイの夫によく似ていたため、ヒスイは息をするのも忘れて固まってしまった。

(オボロ様……?ううん、そんなはずないよね……)

目の前の光景を信じたくないというよりも、何が起きているのか分からない。ヒスイは何度も目をこするが、やはりどこからどう見ても夫だった。

腰にさした刀も紺色の羽織りも確かにオボロのものだったし、それにその凛々しい顔立ちと赤い瞳もヒスイが毎日見ているオボロのもの。

オボロたちに声をかけることも立ち去ることもできず、ヒスイが呆然と立ち尽くしていると、オボロと花魁はそのまま遊郭に入っていってしまった。

(そんな……嘘だよ……。
オボロ様が他の女の人と、なんて……)

花魁と遊郭に入ってやることといえば、一つしかない。

ヒスイはあまりのショックに目の前がぼやけ、その場に倒れ込みそうになったが、ガクガク震える足でどうにか歩き出す。

大好きな夫の浮気現場を目撃してしまったヒスイのショックは大変なもので、どこをどうやって帰ってきたのか分からないほどだった。

(続)

あとがき

キャラクター名は変更させて頂いております。以前書かせて頂いた作品の続編を執筆させて頂きました。リピートでご依頼頂けて、とても嬉しかったです。

兄妹もの

サンプル公開

高校一年生、みくの朝は早い。
両親共に仕事が多忙でほとんど家にいないため、必然的にみくが家事をこなすことが多くなる。

今日も身支度を終えたみくは、同じ高校に通う兄和也の分までお弁当を作ってから朝食の準備をしていた。

ちょうどそこにスウェット姿の和也が現れ、みくは胸をときめかせる。

「お、おはよう、おにいちゃん」

長めの髪には寝ぐせがついているし、ほぼ起きたままの姿だったが、それでも和也の美少年さは損なわれていなかったし、みくにとっては兄はいつでもどんな格好でもかっこいいのだ。

「……おう」

和也はぶっきらぼうな返事をすると、すぐにみくから視線をそらして席につく。

両親もいないようなものだし、二人きりの兄妹ではあるが、みくと和也の間にはほとんど会話はなかった。

(いつからお兄ちゃんと話さなくなっちゃったのかな)

小さな頃はもう少し会話をしていたような気もするが、成長と共にいつのまにか二人は話さなくなってしまった。

和也が不良になってしまったということもあるが、みく自身が兄を異性として愛してしまったという引け目があったから、というのもあるのかもしれない。血のつながりのある実の兄を愛しているなんて言い出せるはずもなかったが、そんなみくにとって兄と一緒にいることができる食事の時間は幸せを感じるひとときであった。

(お兄ちゃんと一緒に過ごせるだけで幸せ。これ以上何かを望んだら、罰が当たっちゃうよね)

お互いに無言のまま食事を終え、みくは兄よりも少し早く家を出る。

控えめでおとなしい性格のためか、みくは友だちがほとんどいなかった。一緒に通学する友だちもいないため、いつもひとりでさみしく通学している。

ひとりで学校までの道を歩いていると、みくとは違う学校の制服を着た何人かの高校生とすれ違ったが、みくの視線は手を繋いで親密そうに歩いている男女の方に向いてしまっていた。

きっと恋人同士なのだろう。
その男女は誰の目もはばからず堂々としていた。

違う学校の生徒ではあるが、みくと同じ高校生。しかし、兄に恋をしているみくにとって、彼らはあまりにもまぶしく見えた。

(いいなぁ……。私も、あんな風にお兄ちゃんと……)

無意識のうちに二人を羨んでしまっていることに自分で気づいたみくは、急いで二人から視線をそらす。

(こんなこと考えちゃいけないのに……)

仲が良さそうに通学している男女を見て、つい自分と兄を当てはめてしまったみくは、罪悪感で押しつぶされそうになる。

(もしも兄妹じゃなくて血の繋がりもなかったら、お兄ちゃんに好きですって伝えられたかな。こんなこと考えたって意味のないことだけど……)

学校から帰宅後、みくは家事をこなしてから、ゆっくりとお風呂に入っていた。

和也は、いつものようにまだ帰宅していない。
何をしているのかは分からないが、今日もいつものように遅くなるのだろう。

みくは兄の帰りを待ちながら、お風呂から出てリビングで髪を乾かす。

そのうちに和也が帰ってきてリビングに入ってきたことに気づいたみくは、すぐにドライヤーを止める。

「あ、お兄ちゃん。おかえり」

和也は一瞬みくを凝視したが、サッと視線をそらすと返事もせずにきびすを返した。

「……お兄ちゃん?ごはん出来てるけど、あの、どうする?」

「いい。食べてきた」

何か怒らせるようなことでもしたのだろうか。返事もしない和也の態度に不安になったみくは、おそるおそる和也の背中に声をかけるが、和也はそのまま振り向かずに部屋に行ってしまった。

「そ、そうなんだ。ごめんね」

不安からかみくの声はどんどん小さくなっていって、和也には聞こえなかっただろう。

小さな声で兄の背中に謝ったあと、みくはその場に立ちすくんだ。

夕食を済ませてきたことは、別にいい。
ただ知らないうちに自分が兄の気に触るようなことをして、兄を怒らせてしまったのではないか。恋人になれないことは分かっているが、兄に嫌われることを何よりも恐れているみくは、そればかりをずっと心配していた。

みくがリビングで立ち尽くしている一方、自分の部屋に戻った和也は、ベッドに横になって天井を見つめている。

和也は無心で天井を見つめていたが、お腹がぐーと鳴ると同時に、先ほどのみくの姿をふいに思い出してしまった。

お風呂上がりで蒸気したピンク色の頬、少し濡れた髪。

色っぽいみくの姿に、わずかに下半身が反応してしまった自分に和也は嫌気が差していた。

(さっさと寝よう。寝て、忘れるしかねぇ)

目をつむって無理矢理寝てしまおうとしたが、空腹も相まって和也は中々眠りにつくことが出来なかった。

和也は、小さな頃はみくを可愛くて大切な妹だとしか思っていなかったが、いつ頃からだっただろうか。

みくは年々綺麗になっていき、小柄な体ではあるがバストもぐんぐん育ち、今ではMカップもある。顔立ちも体つきも日に日に女性らしくなっていくみくに、和也はいつのまにか彼女を一人の女性として意識するようになってしまう。

和也も初めは思春期だからだと思い込もうとしていたが、気づくと彼女自身を深く愛している自分がいることに気づいてしまった。

そう、和也もみくと同じ気持ちだったのだ。

妹にこんな感情を抱くなんて間違いだと思い、他の女性と付き合ってみたこともあったが、みく以上に好きになることは出来ず、すぐに別れてしまった。

これ以上みくを好きにならないように和也はなるべくみくとの接触を避け、用事もないのに外を出歩き、みくを避け続けていたが、ふとした瞬間のみくの仕草に心を奪われてしまう。

(こんな気持ち悪りぃ兄で悪いな、みく)

彼女とも別れ、欲は溜まっていく一方だったが、やはり妄想の中であっても実の妹をはけ口にするのは罪悪感があり、和也はひたすら耐え続けている。

静まらない自身を誤魔化すように、和也は強く目をつむった。

(続)

あとがき

キャラクター名は変更させて頂きました。
自分ではあまり書かない題材でしたが、新鮮な気持ちで楽しく書かせて頂きましたし、勉強させて頂きました。

まとめ

リピーター様もご新規様も大変嬉しいです。
そうそう、それとお仕事をさせて頂いた件数が150件を超えました!
ここまでたくさんのお仕事を頂けるとは思ってなかったので、本当に嬉しいです。
これからもがんばっていきたいと思います。

お仕事の実績, 創作活動

Posted by 春音優月