【小説執筆】お仕事の実績サンプル⑥
こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。
自分のオリジナル小説も趣味で書いていますが、ココナラとスキマで小説執筆のご依頼もお受けしております。
非公開で書かせて頂いた小説も多いのですが、公開許可を頂いたご依頼品はいくつか当ブログでもご紹介させて頂きました。
お仕事実績①
お仕事実績②
お仕事実績③
お仕事実績④
お仕事実績⑤
今回の記事では、一部公開許可を頂いた作品を紹介させて頂きますので、ご興味のある方はよろしければご覧になっていってくださいね。
恋愛小説
サンプル公開
(略)
高校に入学してから二ヶ月が過ぎたけど、ミコが高校でモテてるらしいという噂をよく聞くようになった。
ミコは可愛いし明るいから、モテてたっておかしくない。でも、俺としては正直複雑だ。
高校に入ってからも野球は続けていたけど、実はミコとは高校に入ってからもちょくちょく会っている。
ミコから呼ばれたらすぐに会いに行ってしまうし、会う度にミコのことが好きだと思ってしまう。
俺は相変わらずボウズなのに、ミコは茶髪にピアスになっていて、ちょっとチャラい見た目になったけど、やっぱり可愛いし会う度にどんどん可愛くなっているような気がする。
高校が別になって会える時間は減ったけど、ミコだって俺のことがまだ好きなはずなのに、どうしてもう付き合えないんだろう。
ミコが好きだという気持ちがどうしても消えなくて、思いきってもう一度告白してみたこともあったけど、フラれてしまった。
気持ちは嬉しいけど、付き合うのはもうできない、って。
じゃあ何で会いたいとか言うんだよ。
なんで何度も呼び出すんだよ。
意味が分からないし、勝手だと思ったけど、それでもミコを好きな気持ちは消えてくれなくて、もうどうすればいいか分からない。
ミコとの曖昧な関係はずっと続いていたけど、高校二年生になって、ミコが突然カナダに留学すると言い出した。
何で突然カナダ?
カナダなんて行かれたら、もっと会えなくなる。
ミコがカナダに行くという事実を受け止められないでいる間に、ミコはあっさりとカナダに行ってしまった。
ミコはいつも勝手だ。
その後、ミコは年に何回かカナダから帰ってきて、中学の時の友だちやグループでご飯に行く機会もあった。
もうだいぶ前に別れたし、突然カナダに行くし、ミコのことは忘れようと思っていたのに、やっぱりミコに会うと好きだと思ってしまう。
誰と話している時よりもミコと話している時が一番楽しい。やっぱり俺にはミコしかいない。
ミコも帰ってきた時は俺に必ず連絡をくれるし、たくさん笑ってくれるし、付き合っていた時みたいに距離感だって近い。
ミコも同じ気持ちなんじゃないの?
それなのに、まだミコを好きだって伝えた途端、ミコはカナダに戻っていって連絡もなくなってしまった。
高校を卒業して少し経った頃、またミコが帰国した。
時々会う機会もあったけど、別れたことも俺が告白したことも気にしてないのか、異様に距離が近い。二人きりになると平気で膝の上に乗ってくるし……。
ミコは俺のことどう思ってるんだろう?
こんなことされたら期待しちゃうし、また好きになるに決まってる。
二人きりになった途端、またミコが膝の上に乗ってくると、柔らかい感触といい匂いがして、もう気持ちが抑えられなかった。
ミコが好きだ。
衝動的に唇を重ねたけど、すぐにミコに胸をおされ、重ねた唇は一瞬で離れる。
ミコは困ったような驚いたような顔をしていて、その顔を見てハッと我に返った。
「あ、ごめん……。
でも軽い気持ちじゃなくて、やっぱりミコのこと好きなんだ。俺たち、やり直せないかな?」
気持ちを伝えると、ミコはしばらく黙り込んでいたけど、やがてゆっくりと立ち上がった。
「もう二度と連絡してこないで。
私からも、もうしないから」
うつむいたままミコはそう言い残すと、俺を残して部屋を出ていってしまった。
…….は?
いきなりキスしたのは確かに悪かったけど、そんなに怒るようなこと?
ミコだって期待させるようなことしたのに。
別れたのに平気で連絡してくるし、膝の上に乗ってくるのに、俺が好きだって伝えるといつもいなくなってしまう。
どう考えても振り回されてるとしか思えないし、ミコのことが理解できない。
腹が立ったけど、翌日からは全ての連絡先をブロックされてそのまま音信不通になり、文句さえも言えなくなった。
後日、ミコがアメリカの大学に留学したらしいと人づてに聞いた時、もうミコのことは忘れると決心した。
*
生まれ育った地方を離れ、東京の大学に入学すると同時に、ボウズだった髪を伸ばし始めた。
オシャレにも気をつかうようになって、飲みサーに入って、タバコとお酒デビューも果たした。
もういいや。
どうせ一途な恋なんてしても無駄だし、その場だけ楽しければいい。
勉強もろくにせず、バイトして、飲んで、サークルやバイトで知り合った女の子と適当に付き合って別れてを繰り返し、俺は荒れた生活を送っていた。
そうでもすれば少しは気が晴れるかと思ったけど、全然楽しくなかった。
中学や高校の時はよかったな……。
野球部の毎日の練習はキツかったけど、熱中するものもあって、大好きなミコもいた。
今の俺は一体何やってるんだろう。
熱中するものもなくて、毎日遊んで暮らして、本気で好きな女の子もいない。
可愛い子も面白い子もたくさんいたけど、結局誰といたってミコとの思い出は超えられず、ミコ以上に好きになれる女の子なんていなかった。
(略)
あとがき
こちらの小説は依頼者さまのプロットを元に執筆させて頂きました。キャラクター名は変更させて頂いております。
お二人の出会い〜結婚までを小説にしてほしい、というご依頼でしたが、とても素敵なエピソードだったので、私も執筆しながら涙ぐむ場面が何度もありました。
蛇系BL小説
蛇要素あり。
サンプル公開
大小さまざまな蛇が野放しで飼われている家で、慎二は一定のリズムでパソコンを打っていた。
慎二が暮らすこの家は、季節も時間帯も関係なく、常に一定の温度に保たれている。
人間だったら多少の温度変化には適応できるが、変温動物である蛇は自分で体温調節をすることができず、寒さにも弱いからだ。
家の中は常に蛇たちのために一定の温度に保たれていたが、蛇たちも慎二もお互いを怖がることも過剰に意識することもなく自然体で暮らしている。慎二にとっては、蛇たちがいることはごく当たり前のことであったし、蛇たちも同じであった。
温度管理のことだって蛇中心の生活をしているようだが、慎二も暑いのも寒いのも苦手だ。
人間も蛇もどちらにとっても暮らしやすい環境なんだから、多少他の家庭よりも電気代がかかっても気にする必要もないと慎二は思っている。この家の電気代を払うのは慎二だけではないが……。
この家の主は慎二ではなく、廉という男だった。しかし、蛇を連れてきたのはこの家の主ではなく、慎二の方だ。
慎二と廉の同居は、慎二が廉の家に押し掛けるような形で始まった。
そのとき慎二は蛇たちも一緒に連れてきたのだが、廉は蛇を住まわせることに特に反対することもなかったし、慎二も蛇もどちらも追い出したりはしなかった。
特別蛇が好きというわけではないようだが、嫌いなわけでもないのだろうか。
何も言わなかったので廉がどう思っているのか分からなかったが、家の温度を一定に保つことも蛇が家を這い回ることにも一言も文句を言わなかったので、今に至る。
在宅で仕事をしている慎二とは違って、廉は外で仕事をしていて、外出することが多い。そのため、家にいないことが多く、その間慎二は廉の家で蛇たちと暮らしていた。
蛇は毒を持っている種類もいるし、その見た目から苦手な人も多いだろうが、散歩にも連れて行かなくていいし、エサも毎日は与えなくていい。もちろん部屋の温度の管理だとか気をつけなければいけないことはあるが、メジャーなペットの犬や猫と比べると案外育てやすいのだ。
この家で一人でいることは平気だが、慎二はいつ頃帰ってくるのだろうか。時計を見るともう夕方を過ぎていたが、今日はさすがに帰ってくるのだろうか。
廉はあまり多くを語らず、慎二も廉の仕事内容は交渉などがメインと聞いているくらいで、外で何をやっているのかもよく分からないし、いつ帰ってくるのかさえはっきりしない時が多かった。
一応同居しているのだから、途中で連絡くらいいれたらいいのに、あまりそういった考えには至らないのだろうか。
今回だってそうだ。二、三日前にいきなり出かけてくると言い残し、ふらっとどこかに行ったきり帰ってこない。
人と会うよりもパソコンに向かっていることの方が多い慎二は、季節の感覚や日付の感覚が薄かったが、体感的には廉と離れてだいぶ長いように感じていた。
早く帰ってくるといいな。
早く会いたい。
パソコンに向かって仕事をしながらも、慎二は頭の片隅で廉のことを考えていた。
慎二は器用なタイプで、何でもそつなくこなす。今だって考え事をしていてもきっちりと仕事もやることができ、しかも、ミスもしていなかった。
廉のことを考えながらも、慎二がいつも通り仕事をしていると、しばらくして玄関から物音がした。
廉だ。
すぐにそう察した慎二は、パソコンをシャットダウンして席を立つ。仕事の納期まではだいぶ余裕があるし、今日はこれで終わりでもいいだろう。
床をはっている蛇たちを踏まないように玄関に向かうと、そこには慎二が予想した通りの人物がいた。
肩にかかるくらいの長さの黒髪、黒い瞳。
身長はギリギリ180超えているだろうか。慎二よりもわずかに高いくらいだったが、細身の慎二とは違い、体つきは屈強だった。
「おかえり、廉」
「……ああ」
にこやかに出迎えた慎二に、廉はひとつ頷いただけだったが、いつものことなので慎二も気にしていないようだ。
廉は表情に乏しく、同居人である慎二に対してもあまり多くを語らない。下手すると、慎二が廉に話しかけなければ、一日ずっと無言でいるんじゃないのかと思ってしまうくらいだ。
こんな性格で交渉がスムーズにいくのか心配になるが、まあそれなりに上手くやっているんだろう。
「仕事はどうだった?順調?何も問題なかった?」
「ああ」
「今回は長かったね。ホテルに泊まってたの?」
「そうだな」
仕事はどうだったのか聞いても、いつも通り一言二言しか返ってこない。
だいいち、そうだな、だけじゃ会話にもなってない。今回は長かったと言われたことに対して答えているのか、ホテルに泊まったかと聞かれたことに対して答えているのか、それとも両方を指しているのか。廉の答えじゃ全く分からない。
ただでさえその容姿で怖がられることが多いのに、この寡黙さが初対面の人に与える威圧感にさらに拍車をかけている。
廉は圧倒的に言葉が足りないのだ。
他の人が聞いたら明らかに納得できないような答えだったが、慎二はその答えに満足したようだ。
廉から返ってくる答えそのもの自体は、慎二は大して気にしていない。返事が返ってきたらいい方だと思って、もう返事の内容には期待しないことにした。廉がいたら、それでいいのだ。
リビングのソファーに座ってぼんやりとしている廉の隣に座り、慎二は他にも色々と話しかけていたが、しばらくすると思い出したように立ち上がった。
「ごはんはどうする?何か食べる?」
「食べてきた」
「そうなんだ。じゃあ俺も簡単に食べようかな」
廉が食べてきたと知ると、慎二は冷蔵庫を開けて、卵を取り出す。そして卵の殻をわると、それを料理することも皿に入れることさえもしないで、そのままそれを口の中に入れ、ゴクリと一口で呑み込んだ。
慎二が卵を丸呑みするのに慣れているのか、廉はそれを見ても驚くことも咎めることもしない。
時には卵を炒めたり茹でたりすることもあったが、慎二は卵は丸呑みする方が好きだった。というよりも、そのままで十分美味しいのに、余分なことをする必要はないとさえ思っている。
人間以外の動物はそのまま食材を食べる動物が多いのに、なぜ人間はわざわざ手間をかけて料理したり、食材を加工したりするのかが慎二には謎だった。
野菜や肉がなくても、生卵さえあれば、腹を満たすことが出来る。栄養の問題はあるが、たまになら問題ないだろう。簡単に済ませたい時は、慎二は本当に生卵一つだけで終わらせてしまうことが多かった。
廉以外の人間の前で今みたいなことをすると驚かれることが多いので、慎二も外ではやらないように気をつけていた。別に他人に驚かれたってどうでもいいが、面倒事はなるべく避けたい、そう思ってのことである。
そういったこともあり、慎二も外では妙だと思われるような振る舞いは極力避けていたが、どうしても家では昔の習性が抜けきらないようだ。
本当は生卵よりも生きたままのネズミの方が好きだったが、さすがに今の体でそれをやると感染症や消化の心配もあるので、なるべく控えるようにはしていた。それでも時々我慢しきれずに、蛇たちのエサとして常に購入してある冷凍マウスを解凍して少し食べることもあったが……。
紫色の猫目に灰色の短髪、色白の肌と神秘的な風貌の持ち主ではあるが、慎二の見た目はどう見ても普通の人間だ。
しかし、実は慎二の元の姿は、蛇であった。
二十六才の廉と同じぐらいの年齢に見えるが、実年齢も不詳であり、いつなぜ人間になったのかも定かではない。
慎二の口からそれを廉に明かしたことは一度もなかった。廉以外の人間にももちろんない。
しかし、卵を丸呑みにすることが好きだったり、時々冷凍マウスを食べているような形跡があったり、テレビで時折ヒヨコやハムスターなどの小動物がうつったときに獲物を見るような目で見ていたり、家にいる蛇たちとも親しくなっていたりといった様子に、廉も慎二が人間以外の何かであったのではないかとは薄々感じていた。
人間に慣れることはあっても、なつくことは難しいと言われることが多い蛇たちが、慎二のことは飼い主以上に慕っているように見えたし、明らかに廉に対しての態度や距離感とは差があるように見える。
いや、蛇と仲良くなったり、生卵をそのまま食べるのはまだマシだが、蛇のエサである冷凍マウスを食べるのは尋常とは言い難いだろう。
それしか食料がないというような非常時なら別かもしれないが、この飽食の時代に誰が好き好んでネズミをそのまま食べるというのだ。
普通の人間なら、慎二に恐怖を感じたり、不審に思ってもおかしくはないはずだ。
しかし、廉もこう見えて意外と天然なのか気に留めていないのか分からないが、慎二の正体を問いつめることも怖がることもしていない。
普通の人間じゃなさそうだとは思っていも、ごく自然に一緒に暮らし、態度を変えることもしない。慎二が押しかけてきた時と同じだ。
慎二や蛇が家にきても特に喜ぶこともなかったが、その代わり嫌がったりもしなかった。
廉の変わらない態度は、どれだけ慎二に安心感を与えただろう。よく怒っているとか、感情がないだとか誤解されがちだが、廉は怒っているわけではなく、変わらないだけだ。
いつも変わらない廉だからこそ慎二も側にいて居心地が良かったし、絶大的な信頼を置き、またそれ以上の感情さえも抱いてしまっていた。
知れば知るほど廉のことがもっと知りたくなる。
「お風呂入れるけど、廉も入る?」
「入ってきた」
食事……と言っていいのか分からないが、とにかく栄養を補給し終えた慎二は、次は風呂の準備を始めた。一応廉がどうするか聞いたが、ほとんど答えは予測していたのだろう。
「そっか、俺も入ってきちゃうね」
廉の答えを聞くか聞かないかのうちに、慎二は風呂場へと歩いていった。
*
慎二が風呂を終えてリビングに戻ってくると、廉が外出着から部屋着へと着替えている最中だった。
ズボンだけは履いていたが、上半身には何も身につけておらず、裸の状態。
それ自体は慎二も気に留めることもなかったが、廉の屈強な身体に赤い印が点々とついているのを見つけてしまい、慎二は紫色の猫目を瞬時に吊り上げる。
しかもその赤い痕はまだ新しく、昨日か今日ついたような感じだった。そもそも廉が家を出る数日前まではこんな痕はなかったので、出かけている数日間の間に何かがあったのは確実だ。
「それ、どうしたの?」
廉の肌についた痕を見た途端、慎二の脳内に一瞬で良くない想像が浮かんでしまったが、限りなくクロにしろ、まだそうと決まったわけじゃない。
慎二は平静を装って、廉の肌を指差した。
「何が」
「それって、キスマーク?
もしかして誰かに抱かれたの?」
「ああ」
何のことか察していない廉にあくまで軽い調子で言ってみたが、何でもないことのようにあっさりと認められて、慎二の心は激しい嫉妬と廉を抱いた男への怒りでいっぱいになってしまう。
恋人と言えるかは定かではないが、慎二も廉を抱いたことがある。しかも、それは一度だけではなかった。
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あとがき
蛇×人間のBL小説を書かせて頂きました。
キャラクター名は変更させて頂いております。
蛇ものは初めて書いたので、調べてから書かせて頂きましたが、私も少し蛇の生態についてくわしくなったような気がします(?)
人間以外の生き物がお相手のお話もけっこうイケたりしますので、また機会があればぜひ挑戦させて頂きたいです(´ω`)
まとめ
お仕事で書かせて頂く際は、依頼者さまのお考えになったキャラクターや設定を元に創作小説を書かせて頂くことが多いのですが、最近は依頼者さまの実体験を元にした小説を書いてほしいというご依頼を頂くことも増えてきました。
創作も大好きですし大歓迎ですが、依頼者さまの大切な思い出を書かせて頂くというのも大変光栄なことであり、とてもやりがいがあることだと感じています。
どちらにしても、作品を提出して喜んで頂けた瞬間はとても嬉しいですね。
執筆するのはエネルギーがいりますし、ましてやお仕事なのでプレッシャーもありますが、喜んで頂けると嬉しいですし、とてもやりがいがあります。
可愛いものと猫と創作が大好きな物書き。
執筆ジャンルは、恋愛(TL/BL/GL/TSF)、ファンタジー、青春、ヒューマンドラマ、など雑多。年下ヒーローと年下攻めを特に好みます。
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