【小説執筆】お仕事の実績サンプル10
こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。
趣味でオリジナル小説やブログを執筆していますが、小説執筆や文章関連のお仕事もさせて頂いております。
今までにお仕事で執筆させて頂いた文章のサンプルまとめ
お仕事実績①
お仕事実績②
お仕事実績③
お仕事実績④
お仕事実績⑤
お仕事実績⑥
お仕事実績⑦
お仕事実績⑧
お仕事実績⑨
こちらの記事では、また新たに公開許可を頂いた作品を掲載させて頂きます。
女教師もの
※キャラクター名は変更させて頂いております。
サンプル公開
教師になってから三年目の夏。
初めて三年生の担任を受け持った私は、一部の生徒たちと上手くコミュニケーションが取れずに行き詰まっていた。
その子たちが二年生の頃は特別悪いことはしていなかったのに、三年生になった途端に何度も万引きを繰り返したり、気が弱い後輩を選んではカツアゲをするといった非行に走りだしてしまったの。
何度注意しても分かってくれず、問題行動を繰り返す彼らの気持ちが全く理解できずに私は途方にくれていた。
「……そうなのよ。
お金に困ってるわけでもなく、家庭に大きな問題があるわけでもないのに、どうしてそんなことをするのか分からないのよ」
教師としての自分自身の指導力にも自信をなくしかけていた私は、久しぶりに食事をする友人に悩みを打ち明ける。
彼とは大学生の時から共に教職を目指し、教育に関する真面目な理想も語りあう仲。
性別を意識せずに付き合える良き友人であり、同志だった。
「大した意味なんかないんじゃないかな」
「え?」
彼ならもしかしたら良いアドバイスをくれるかもしれないと思って相談したけれど、返ってきたのは意外な言葉で思わず聞き返してしまう。
「きっと悪ぶってみたいだけなんだよ。
俺も中学生ぐらいの時はそんな時期もあったような気がする。多感な時期だからね。もちろん万引きしたりはしなかったけど、なんとなく気持ちは分かる気がするよ。
大人が頭ごなしに叱っても反発するだけだから、もう少し余裕を持って接してみたらどうかな?」
「そういうものなのね……。
分かったわ、ありがとう。そうしてみる」
穏やかな口調の彼の言葉に私も納得し、素直にそれを受け入れる。
言われてみれば、彼らをどうにか更生させようということに必死で、近頃の私は余裕を失っていたのかもしれない。
悪いことは悪いと注意し、少しでも規則を破れば叱っていたけれど、あまりにも厳しくし過ぎたのかしら。
もちろん悪いことをした時はきちんと伝えなけばいけないけれど、彼の言う通り、明日からはもう少し教師として、大人の女性として、余裕を持って接してみましょう。
私の大事な生徒たちだもの、きっと彼らもいつか分かってくれるはずよ。
何度注意しても問題行動が改善されない一部の生徒たちにどう対処していいのか分からずに悩んでいたけれど、彼に話を聞いてもらえて心が軽くなった気がする。
食事を終えたあと、彼が車で家の前まで送ってくれたのでお礼を言って降りようとしたけれど、その時ふいに目が合った。
「今日はありがとう。
話を聞いてくれて助かったわ」
「俺で良ければいつでも聞くよ」
私に優しい笑顔を向けながら、だんだんと近づいてくる彼の顔から目が離せなくなる。
私……、この人が好き。
長い間友人だった彼に対して自分が友人以上の感情を抱き始めていることには薄々気が付いていたけれど、今日はっきりと気がついたわ。
いつも優しくて、考え方も生き方も尊敬できる彼のことが好き。そして、たぶん彼も私のことを……。
このまま彼からのキスを受け入れて、恋人同士になれたらどれだけ素敵なんだろう。でも、……。
「……明日も早いから、そろそろ帰るわ」
唇が重なるギリギリのところでそう告げると、彼は苦笑いを浮かべながら私から距離をとった。
私も本当は彼からのキスを受け入れたい。
けれど、生徒たちのことも解決できないのに浮ついたことをしていたらいけないような気がしたの。
「今日は本当にありがとう。また、電話する」
生徒たちのことが解決したら、その時は私の方から彼に気持ちを伝えよう。
そう胸に秘めて、私は彼の車から降りた。
*
翌日、私はお気に入りの紺色のスーツを学校に着ていくことにした。
少しタイトなスカートのこのスーツは、教師になって初めてのお給料で買ったもの。
あれから三年が経ち体型も変わったのか、元々タイトだったスカートがますますタイトに感じられることが気になって最近は着ていなかったけれど、初心を思い出すために久しぶりに着てみることにしたの。
やっぱりスカートがタイトで脚にぴったりとはりついてくることが気になるけど、いつもは真面目に授業を聞いてくれない不良の生徒たちも今日はなぜか熱心に聞いてくれている気がする。
いつもは何度注意しても上の空だったり他のことをしている彼らの目も、今日は黒板に板書をしている私に釘付けになっている。
この紺色のスーツのおかげかしら?
彼からも良いアドバイスがもらえたし、反抗的な生徒たちも私を熱心に見て真面目に授業を聞いてくれている。
なんだか全てが上手くいく気がして上機嫌で授業を終えると、学級委員の男子生徒に呼び止められた。
「白井先生、今日の放課後ってお時間ありますか?進路について相談したことがあるんですが……」
「ええ、もちろん。先生で良ければいつでも相談にのるわよ」
「ありがとうございます。
あの……。二人きりで話したいので、格技場の裏に来てくれますか?」
視線をさまよわせ、周りを気にしている彼に分かったわとうなずく。
ご両親の希望通り進学校に行くか、それとも自分の本当にやりたいことのできる学校に行くか。この子、前から悩んでいたものね。
学級委員としての責任感の強い子だし、あまり他の子には悩みを知られたくないのかもしれないわ。
難しい問題だけど、彼にとっては一生を左右することだから力になってあげたい。
放課後の職員会議を終えた後に、どんなアドバイスをしようか考えながら小走りで格技場の裏に向かう。
「ごめんね、遅くなっちゃって。
急に職員会議が入っちゃって……っ」
当然もう例の生徒がいるものだろうと思っていたのだけれど、格技場の裏には誰もいなかった。
あら?まだ来ていないみた……!!?
相談があると持ちかけたはずの子がいないことを不思議に思って辺りを見渡していると、突然後ろから誰かに抑えられ、声を出す暇もなく口を手で塞がれる。
なに?何なの……?
誰……!?
何が起こっているのか分からないうちに抱えられ、いつのまにか私は柔道部の部室に連れ込まれていた。
「あなたたち……。
どうしてこんなことをするの?」
畳の敷かれた柔道部の部室には雑誌やお菓子が散らばっていて、たたまれずに放置されている柔道着の匂いが充満していた。
そこには不良生徒を中心に、自分の担任しているクラスの生徒たちが揃っていて、塞がれていた口が解放された途端にそんな言葉が口をつく。
一、二、……十人、いえ十五人以上はいるわね。それも男子生徒ばかりで、何をしようと言うの?
「白井センセーさぁ、いちいちウゼーんだよ。
ちゃんと授業聞きなさいだの、制服は第一ボタンまで止めなさいだの、細かいことまでいちいちいちいちさ。そんなの、どうでも良くね?
ここにいるやつら、全員お前にムカついてんだよ。な?」
不良グループのリーダーが私を挑発するように見下し、周りの生徒たちに同意を求める。
彼の近くにいた不良グループの子たちはそうそうと口々に同意したけれど、少し遠くにいる私を呼び出した学級委員や他の子たちはどうしていいのかわからないと言った様子でオロオロしていた。
「というわけで、白井。
お前、イラつくからリンチな」
リンチ。
腕を抑え込まれ、大人数に取り囲まれ、その単語を聞いた瞬間に体が震えそうになる。
「何を言ってるのよ。
そんなことをしても、後から自分が虚しくなるだけよ。やめておきなさい」
声が震えそうになるのを必死で堪え、凛として言い放つ。
しっかりするのよ。
彼から言われた通り、余裕を持って毅然とした態度でいなくてはいけないわ。
そうすれば、きっと……。
(続)
あとがき
ご依頼を頂いて執筆させて頂いた作品の一部です。
この後は大変なことになっていきますが、どんなときでも凛とした主人公のキャラクターが魅力的でした。
GL風味
※キャラクター名は変更させて頂いております。
サンプル公開
めったにこないマリのラインに新着メッセージがついたのは、祝日の前の日の夜のことだった。
スマホをタップしたマリは、メッセージの内容を見てますます驚く。
メッセージの送り主は、二ヶ月前に知り合ったばかりの二つ年上の女性オリコ。それだけでも驚くのに、メッセージの内容が「明日は休みだし、ドライブでもしない?」という内容だったからさらに驚きだ。
(あんなにかっこいいお姉さんが、冴えない私を誘ってくれるなんて……)
二人が知り合ったのは、オリコの落とした財布をマリが拾ったことがきっかけだった。
たしかにオリコはマリにお礼がしたいと言っていたし、そのていで連絡先を交換したことは間違いない。しかし、マリはそれを社交辞令だと思っていて、まさか本気で誘われるわけはないだろうと思っていた。
(私を誘ってくれるなんて変わった人だなあ。でも、もし仲良くなれたらいいなって思ってたし、すごく嬉しい)
まさかのオリコからの誘いには驚いたが、友達がいないため、普段誰からも誘われることのないマリが遊びに誘われて嬉しくないはずがない。
しかも、相手はかっこいいと思っていた憧れの女性。
そして、友達がいないので、もちろん明日の予定もない。
断る理由なんてあるわけもなく、マリは喜んで了承の返事を送った。
*
翌日、マリが待ち合わせ場所の駅で待っていると、世間知らずで車に疎いマリでも知っているくらいの高級外車が彼女の目の前に止まった。
見るからに高級そうな外車から、整った顔立ちで長身のオリコが出てくる。
「おはよう、マリちゃん。今日はきてくれてありがとう」
さわやかな笑みを浮かべながらオリコが高級外車から出てくる様子は、まるで映画のワンシーンのようだった。
マリだけではなく、その場にいた他の女性たちからも注目を集め、女性たちはうっとりとしたようにオリコを見つめる。
「さあ、どうぞ」
マリも例外ではなくオリコにうっとりとしてしまい固まってしまっていたが、オリコからリードされて助手席に乗せられた。
「マリちゃんは行きたい場所ある?」
マリが助手席のシートベルトをすると、オリコはマリを気づかうように微笑みかける。
「えっと……、私は特にないです」
行きたい場所と聞かれマリも考えてみたが、誰かと出かけること自体が久しぶりのため、全く思いつかなかった。そんなマリをオリコは優しく見つめる。
「それなら、私のおすすめの場所でいいかな?」
「はい!もちろんです」
もしかしたら、オリコは初めからどこにマリを連れて行くか考えていたのだろうか。
オリコもマリと同じようにどこに行くのか全く考えていなかったら、きっとグダクダになって、出発がだいぶ遅れてしまっていたに違いない。
結局、ここからそこまで遠くないのに海も綺麗で穴場だという海に行くことになった。
よほど慣れているのか、マリをリードする様子も車の運転もそして海に連れて行く手順も、オリコは全てスマートにこなす。
そして、どれをとっても絵になった。
(続)
あとがき
ご依頼を頂いて執筆させて頂いた作品の一部です。
イケメンオーラバリバリの女性で、とても楽しく執筆させて頂きました。
まとめ
文章のお仕事を始めて、ついに公開できるサンプルも10記事を超えました!
もちろん非公開での執筆依頼も大変ありがたいですし嬉しいのですが、こうして実績サンプルがたまっていくのもとても嬉しいですね!
可愛いものと猫と創作が大好きな物書き。
執筆ジャンルは、恋愛(TL/BL/GL/TSF)、ファンタジー、青春、ヒューマンドラマ、など雑多。年下ヒーローと年下攻めを特に好みます。
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