【短編のようなもの】昔の少女漫画みたいな設定のお話


こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。

管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

小説、というほどのものではないんですが、過去ブログにふと思い立って書いてみたお話があったので、こちらのブログに記事をお引っ越しすることにしました。

学園ものですが、現代風ではなく、昭和風の設定のお話です(;´∀`)

短いお話なので、よろしければ読んでいってくださると嬉しく思います。

昔の少女漫画みたいな設定のお話

「先輩を、奪ってみせます」 

そう言って、彼はいとも簡単に私(わたくし)の唇を奪っていった。   

ふわふわの猫っ毛に、色素の薄い目。
名前も知らない彼は、猫のように目を細めて微笑む。

「奪うっていうことは、あなたは経営学科なの?」

そうです、とだけ答えると、彼は何事もなかったかのように図書室を出ていった。
 
誰だか知らないけど、バカバカしい。
読みかけの本を閉じ、スカートからハンカチを出し、それで唇をぬぐう。

私を奪う、なんてことができるわけがない。
どうやら一年生のようだったけど、私の彼氏がハルくんということを知らないのかしら。  

日本の政財界の御曹司や令嬢が数多く通うこの学園には、変わった規則がある。  

それは、サミッティアコースの女子生徒は経営学科の男子生徒と付き合うこと。

この規則ができた理由は、何代か前の理事長の初恋の人が経営学科だったから。  

こんな理不尽で不愉快極まりない規則がまかり通っているのは、この学園が全寮制というひどく閉鎖的な環境かつ、卒業後はエリートコースが約束されているからに他ならない。  
この規則が守られない場合は、サミッティアから普通学科に落とされる。 
  
退学にならないならいいじゃないか、なんてそんな問題ではない。外の人たちには分からないでしょうけど、私たちにとってサミッティアから落とされるということは、死よりもきつい辱しめを意味する。

選ばれた女子生徒のみで構成されるサミッティアは、一番の花形学科であり全生徒から憧れられる存在。

この学園には、家柄、容姿、成績、人望などを加味した総合的観点から階級付けされる制度があるのだけど、サミッティアの場合、それに加えて、付き合う彼氏でもランク付けされる。経営学科の男子にとっても、それは同じ。

またサミッティアの彼女を持つことによって、様々な特権を得られるから、大抵の生徒は付き合いたがるのだけど……。

同じ学年同士、もしくは経営学科の先輩との組み合わせはあっても、サミッティア女生徒と後輩との組み合わせは、普通ならあり得ない。

なぜなら、サミッティアの生徒は入学してから三ヶ月の間で彼氏を見つけなければいけないから。だから、二年生以上のサミッティアの生徒は全員彼氏持ちということになる。

もしも、経営学科の一年生がサミッティアの二三年生と付き合いたい場合、方法は二つ。 

もしも何らかの理由で破局した場合、すぐにサミッティア除籍とはならず、一ヶ月の猶予が与えられる。その間に新しい経営学科の彼氏を見つければ、そのままサミッティア残留となるのだ。

だから一つ目の方法としては、別れたての隙を狙うか、もしくは……、

さっき、彼が言っていたように「奪う」か、だ。

奪う、「乗り換え」と呼ばれる行為は、軽蔑されることであり、ランクを落とすことにもつながるので、めったに行われることではない。

もちろん乗り換えを行ったものは、今の二三年生にもすでに何人かいるし、過去には五人以上乗り換えたという強者もいるという噂もあるけれど……。
 
よっぽど乗り換え先に旨味がある場合を除いて、私にはそんなことをする意味も分からない。

たしかに、名家の御曹司であるハルくんと私は愛し合っているわけではなく、ランクや特権のため、お互いの利害が一致したことによる契約上の恋人だ。

けれどそのことは、誰も知るはずがないし、それに……。

昔からの幼なじみでもあるハルくんは、私の初恋の人。何より、私は今もハルくんに恋しているのだから。

私を奪う、なんてことは、そもそもできるはずがないのだ。

あとがき

突っ込みどころは満載ですね(;´∀`)
乗り換え可能とか(爆)

ちなみにサミッティアは選ばれた存在なので40人くらい、経営学科は200人くらい。
経営学科には、金持ち以外もいます。主人公の契約彼氏のハルくんは御曹司、キスしてきた一年生は一般人。

人数の比率が違うので、経営学科の男子はサミッティアのこと付き合わなくても別にいいですが、サミッティア女子と付き合うと羨望の眼差しでみられることもありますし、彼氏になると学園内で特権があるので、大抵は付き合いたがります。

ハルくんと謎の一年生とどっちとくっけるかは未定のまま、未完で終わりました(え?)

ただ思いついたものを書き殴ったお話にお付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m

創作活動, 短編・番外編

Posted by 春音優月