【執筆9周年企画】イラストを元に執筆したストーリー

こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

今年の8月で執筆9周年、同時にブログ3周年を迎えました。

ハルちゃん
ハルちゃん
やったぁ! ここまで本当によくがんばってきたよね。これからもがんばろうね!
優月
優月
うん!これからもがんばろう!
いつも支えてくださる読者様、ありがとうございます。お礼の気持ちとして、今年も特別記念の短編を用意しましたので、少しでも楽しんでいって頂けると嬉しいです

テーマ「猫と恋」

今年は、「猫と恋」というテーマで描いて頂いたイラストを元にした短編を執筆させて頂きました。

『思い出の喫茶店』

上品な雰囲気の老婦人は、どこか見覚えのある喫茶店の外観に目を見張った。

仕事の都合でフランスにいた老婦人が日本に帰国したのは数十年ぶりだったが、この辺りもずいぶん変わったと思っていたのに。その喫茶店だけが不自然なほどにあの頃のままだった。

古びた様子は全くないが、改修工事でもしたのだろうか。それにしても全く変わり映えがしない喫茶店の外観に、不思議なこともあるものだと老婦人は首を傾げたが、なんにせよ懐かしさを感じ、その店に入ってみることにした。

店の中に入ると、レトロで落ち着いた雰囲気の内装は当時のまま。それにも驚いたが、顔立ちは整っているが無愛想な雰囲気の男性店員までもがあの頃のままだったことに、老婦人はさらに驚かされる。

(まさか、そんな……)

老婦人は目を見開いたが、きっと他人の空似か当時の店員の血縁者か何かだろうと自分を納得させ、空いている席に座ることにした。

テーブルの上には、大人のキジトラ猫が日向ぼっこしている。老婦人が席にきても動じる様子もなくのんびりしている猫を見て、彼女は懐かしさを感じて頬を綻ばせた。

「メロンソーダとプリンアラモードをお願い出来るかしら」
「承知いたしました」

老婦人が店員に声をかけると、店員はメモを取り、店の奥に引っ込んでいく。

姿だけではなく、声や仕草までもがあの頃の店員と同じ。不思議なこともあるものだと老婦人は思ったが、ここにいると自分までもが若返ったような気持ちになり、自然と当時のことを思い返していた。

当時女学生だった老婦人は、看板猫と無愛想な店員のいる喫茶店で、名前も知らない男性に恋をした。勇気がなく連絡先を聞けないでいるうちに、引っ越すことになり、今に至る———。

数回話した程度だが、初めて恋をした人だった。数年前に先立たれた夫のことは愛していたが、もしあの時彼に連絡先を聞けていたらどうなったのだろうか、と時々考えてしまうことはあった。

(懐かしいわね)

もう二度と会えないであろう初恋の人を想い、老婦人はわずかに笑みを浮かべる。

チリリンという音と同時に、老婦人と同じ年代の男性がドアを開けたのはその時だった。年老いた男性は彼女と同様に白髪で、その顔には皺が刻まれていたが、確かに見覚えのある佇まいに老婦人はハッとする。

目の前の人物に見覚えがあったのは老婦人だけではなかったようで、年老いた男性も驚愕したような表情を浮かべていた。

数十年ぶりの再会を果たした二人は言葉も発せないまま顔を見合わせ、固まってしまう。

無愛想な店員はそんな二人の様子をまるで気にかけることもなく、マイペースに仕事を続けていた。テーブルの上にいたキジトラ猫もそれは同じだったが、小さな声でニャーと鳴いてから、そのまま丸くなって目を瞑る。

無愛想な店員と看板猫のいるレトロな雰囲気の喫茶店では、ごくまれに不思議なことが起こるという———。

あとがき

ライト文芸・キャラ文芸辺りのストーリーをイメージして書きました。イラストを拝見して、懐かしさと少し不思議な印象を抱いたので、レトロで不思議な喫茶店をイメージしてます。

数十年ぶりの再会を果たした二人ですが、この後はどうなるのでしょうか。現在は独身の身となったので、もう一度ロマンスが生まれたりするかもしれませんね。

今回の短編が誕生した経緯

昨年の執筆8周年記念の際は、 『国際恋愛』というテーマにそったイラスト を描いて頂き、イラストから連想した短編を執筆する、という企画を実施いたしました。今年も何か企画を行いたいなと考え、去年とはテーマを変えてイラストを描いて頂ける方を募集させて頂くことにしました。

ココナラの公開依頼で募集させて頂きました

昨年はスキマで募集させて頂きましたが、今年は ココナラでイラストを描いて頂ける方を募集させて頂きました。

今回募集させて頂いた内容としては……

・「猫と恋」というテーマに沿ったイラストとブログアイキャッチを描いて頂きたい
・背景有り、カラーのイラスト
・こちらからキャラクターの外見、構図等の指定はなし。提案の際に、描いて頂く予定の構図を文章で記載してほしい。

という感じでした。

二年前か一年前にココナラの公開依頼でとあるイラストを描いて頂く方を募集させて頂いたことがありました。二十人近くの方からご応募頂いたのですが、半数近くの方がこちらの依頼内容をろくに読まずにテンプレ提案文章で応募される……という結果にガッカリしてしまったのです。そもそも依頼内容を理解頂けてないんじゃ、絵柄の好み以前の問題ですよね……。

そんなことがあり、一時期ココナラの公開依頼を避けていました。しかしあれから時も経ったし、たまにはココナラで募集してみようかなと今回ふと思い立って募集してみたのです。

恐る恐るでしたが、数年前とは違い、今回はほとんどの方がきちんとこちらの依頼内容を理解して頂いた上で提案して頂けたのです!

もしかしたら前回は予算を高めに設定したから、こちらの予算だけを見て依頼内容を確かめずに衝動的に(?)応募された方が多かったのかもと思い、今回はあえてこちらの予算を記載せず「見積もり希望」としました。

予算目安があった方が提案頂く方にとっては分かりやすいかもしれませんし、予算の表記ではなく単にタイミングの問題だったのかもしれません。
しかし、予算を限定しない方が幅広く募集出来ますし、もしかしたら好みの絵柄の方に出会える可能性も上がるのかもしれませんね。よっぽど好みの絵柄だった場合は、多少想定していた予算を超えていてもお願いする可能性もありますし。

前回は苦い思いをしましたが、今回は良い出会いがあり、提案して頂いた方の中のお一人に依頼させて頂くことにしました。

イラストを描いて頂いた方のご紹介

こちらのアイキャッチとイラストを描いて頂いたのは、uskmooさまです。

華やかでゆめ可愛い絵柄だけど、どこか懐かしい雰囲気のあるuskmooさまのイラストに惹かれ、依頼させて頂きました。

完成品も華があり、どこかノスタルジックな雰囲気もあって、素敵ですよね。

「猫と恋」というテーマで募集させて頂きましたが、なんとなく自分の中では若い男女+猫または若い男性(女性)と猫獣人のようなイラストをイメージしていました。実際にご提案頂いた方のほとんどがそのようなイラストを想定されていました。

しかし、uskmoo様は70代の女性をイメージされていたのです。意外でしたが、普段高齢のキャラクターをメインに置くことはあまりないので、挑戦してみたい!という気持ちが自分の中でふつふつとわいてきました。

高齢キャラクターと恋を絡ませるのは難しそうだなと少し心配もしていたのですが、不思議とイラストを拝見したら、すぐにイメージが湧いてきたのです。きっと店内やキャラクターの服装、表情、小物まで細かくしっかりと描き込んでくださったので、イメージが湧きやすかったのだと思います。猫ちゃんも手触りが良さそうで可愛いですよね♡

ストーリーのワンシーンを切り取ったような素敵なイラストを描いて頂けて、大変嬉しく思いました。

まとめ

優月
優月
今回の企画小説『猫と恋』はいかがでしたか?
ハルちゃん
ハルちゃん
楽しんでもらえていたら嬉しいな♡

来年は、早くも執筆十周年を迎えます。
節目となる年なので、来年は何か特別が出来たらいいな、と今から何をやるのか色々考えています。しっかし何も思いつかないので、どうしようかなと。
優月
優月
何か良い案ありますか、ね?

ココナラ
招待コード→bcd7v3