【小説の人称について】一人称?三人称?どっちで書く?

こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

私は普段から小説を書いていますが、一人称と三人称のどちらで書くかはいつも迷ってしまいます。半年ほど前までは一人称一択でしたが、執筆のお仕事を始めてからは三人称でも書くようになりました。

ずっと一人称で書いていたというのに、三人称で書くようになってから、実は一人称の方が難しいんじゃないんか?と思うようになってしまいました。もちろん三人称は三人称で難しい部分もあるのですが……。

小説を書かれる方や小説を読むのが好きな方は、三人称と一人称とどちらの方が書きやすい(読みやすい)ですか?

どちらもそれぞれメリットとデメリットがあると思いますので、人称によってどんな風に違いがあるのかをこの記事では書いていきたいと思います。

小説の人称について

小説の人称=小説の語り手。

一人称

一人称は、小説の地の文の主語で「私」「俺」「僕」などの「一人称」を使用する形式のことですね。小説の登場人物のうちの一人の主観的な視点で、ストーリーが進んでいきます。

主観的な視点で書くので主人公の心理描写がしやすいですし、読者さんに感情移入してもらいやすいというメリットがあります。

一方で、一人のキャラクターの視点からしか書けないので、そのキャラがいない場面の出来事は書けなかったり、客観的な描写や世界観の説明ができないというデメリットがあります。

三人称

三人称は、小説の地の文の主語で「○○(キャラ クター名)」などの「三人称」を使用する形式のことですね。小説の登場人物の誰でもない第三者の視点で、ストーリーが進んでいきます。

客観的な描写ができるので、主人公のいない場面や他のキャラクターの心理描写ができます。世界観の説明や情景描写がしやすいです。

一方で文章が固くなりがちだったり、主観的な視点から書けないので感情移入しにくかったりするデメリットがあります。

一人称でずっと書き続けてきました

毎日ずっと書き続けていたわけではなく、ところどころ休んでいた期間もありますが、私が初めて小説を書き始めてから6年以上の期間がたち、短編長編と共にたくさんの小説を完結させました。恋愛・ファンタジー・青春など、書いてきた小説のジャンルはバラバラですが、昨年の秋までは全ての小説を一人称で書き続けていましたね。

三人称でも書いてみたいという気持ちもあったのですが、書き始めた当初、私の中では一人称が書きやすく、三人称はどう書いていいのか分からない難しいという印象があり、その印象をずっと引きずったまま来てしまったのです。
読む方でも一人称の方がとっつきやすく感情移入しやすいイメージがあったので、なんとなく三人称に苦手意識があったのかもしれません。

途中で視点が切り替わる一人称小説

大抵は主人公一人の視点から書いていく一人称の小説が多いと思いますが、途中で視点が切り替わる(主人公が変わる)一人称小説もありますよね。

視点切り替えなんて邪道だという考え方もあると思いますが、私は色々なキャラクターの視点から読める切り替え型の小説がけっこう好きです。

実際に私も初期の頃は複数主人公の作品を書いていた関係もあり、途中で切り替える書き方をしていました。処女作はメインキャラクターがみんな主人公という方針で、8人のキャラクターの視点を切り替えて書いていましたね。

今考えると、どう考えても人数多すぎだし、視点切り替えがやりたいなら三人称でやった方がよほど書きやすい(読みやすい)と思いますが、当時はこの書き方が書きやすかったのですね、きっと(;´∀`)

ちゃんとした小説を書いたことがない私にとって、「三人称で書くこと」と「ぶつ切りじゃない長編小説を書くこと」はすごく難しいことでした。そこで考えたすえに、三人称が書けないなら、8人のキャラクターの視点を全部一人称で、場面ぶつ切りしか書けないなら、一話完結型で語り手を変えちゃおう、という無茶をやってのけたわけですね。

そんなわけで、話は全部繋がってるけど、一話完結型のクッキングパパ形式の8人主人公の一人称の小説が出来上がりました。

執筆経験が増えるにつれ、主人公一人の視点から書いていく方がずっと書きやすいような気がしてきましたし、なんで処女作でこんなに難しい構成に挑戦したんだろう?と今さらながらに思います。当時の私は何を考えていたのでしょうか……。

途中で視点が切り替わる一人称小説はキャラクターを上手く書き分けないと、作者も読者も混乱してしまうので、そこが難しいところだと感じています。口調も考え方も全部キャラごとに変えないといけませんもんね。
複数主人公ものが書きたいなら、三人称の方がよっぽど書きやすいですよ。本当に……。

今、処女作と同じ構成の作品を一から考えて書こうとしても難しいような気がしますね。

まず人数が多いと、キャラ設定が被らないように考えるだけでも大変ですが、当時は自然とたくさんのキャラクターを生み出せましたし、本当に自然とキャラクターが動いてくれて書き分けについてもそこまで困ることはありませんでした。文章と展開はかなり荒削りですが、今よりもずっと勢いがあったと思います。

何でこんな構成が自然と出来たのか自分でも謎ですが、きっと当時は若さと情熱があったのでしょう笑

一人称にしろ三人称にしろ、あんまりキャラクターが多くなると作者も大変ですが、そもそも読者様も名前を覚えるだけでも大変だと思いますし、あまりオススメできませんが、趣味の小説なら何書いても自由だと思いますので、書いてみたい方は挑戦してみるのもいいかもしれませんね。もしかしたら、何十年後かに複数主人公の一人称小説が流行るかもしれませんし。(え?)

自分語りが多すぎた

どうしても主人公が自分語りが多い人みたいになってしまっている。これは私の今までの最大の反省点にして、一人称ならではの悩みでもあると思います。

一人称は、会話文をのぞくと全部主人公の思考で進めていかないといけませんので、三人称に比べて、情景描写や世界観の説明が難しいです。

キャラクター同士の会話で語らせる、主人公が思い返してもおかしくない状況を作るなど、やろうと思えば一人称でもいくらでも方法はあるのですが、書き始めたばかりの頃はあまりそういう手法が分からなかったという人も多いのではないでしょうか。

書き慣れてくるにつれ描写の配分や手法も自然と身に付いてきたのか、最近の作品はだいぶマトモになりましたが、初期の作品は今読み返すと本当に自分語りが多くて、主人公たちには申し訳ないことをしてしまいました。笑

書きたい設定があるんだけど、初心者で筆力もなく、どう書いていいのか分からないから、結局地の文で主人公の口から語らせるという方法に頼ってしまっていたのですね。

三人称の場合、世界観の説明やキャラクターの外見、情景描写は地の文でほとんど書いてしまっても違和感がないと思いますが、一人称の場合は上手くやらないと自分語りが多い人になってしまうので注意が必要です。

三人称でも書き始めてみました

練習用で三人称を書いたことはありましたが、実際に人にお見せする文章で三人称を本格的に書き始めたのは、昨年の秋からとなります。

昨年の秋からココナラとスキマで執筆関連の出品を始めたのですが、ご依頼のストーリーの設定を拝見させて頂いて、ちょっとこれは一人称だと難しい、と感じることがあり、三人称で書かせて頂く機会が増えました。

自分のオリジナル小説を書く時は、作者の自分が書きやすいように一人称でも無理のないプロットを考えます。しかし、個人の方とお取引きさせて頂くと、本当に色々な要望を持った方がいらっしゃるので、一人称でも三人称でもどちらでも書けるようにしておくにこしたことはないなと感じました。

主人公のいない場面を描写する必要があったり、世界観の詳細な説明(客観的な描写)が必要であったりすると、一人称ではどうしても難しくなってしまいますね。

今までずっと一人称で書いていましたが、三人称を書いていて特に書きづらいと思うこともありませんでした。逆に、一人称に比べて外見や状況、世界観の説明がしやすいことがすごくありがたく、三人称の恩恵を感じることも多いです。

ずっと一人称(三人称)で書いていたとしても、ある程度執筆経験がある方ならどっちも書けるような気がしますね。

もちろん三人称はまだ経験が浅いので、一人称の方が書きやすいと感じる場面は多々あるのですが、少なくとも以前まで持っていたような三人称への苦手意識はなくなりました。

ナレーター風の三人称小説

一人称は、あるキャラクターになりきって書けばいいですが、三人称は三人称の中でも色々と書き方があります。

主人公に寄った視点で書く三人称もあれば、色々なキャラクターの描写を書く三人称もあります。

三人称は第三者の視点なのだから、キャラクターの心の中まで描写してはいけない、という意見もあるみたいです。キャラクターの思っていることをはっきり書かずに、情景描写で全てキャラクターの心理を描く手法ですね。

web小説の場合、三人称であっても、はっきりと地の文でキャラクターの心理を書いてある方が多いように思いますし、全て情景描写で心の動きを表すのも高度なテクニックが必要な気がします。

私もはっきり書いてしまう方なのですが、以前とあるドラマを見ていた時にたった一つの動作だけで、その人物の感情がぐわ~っと伝わってきたことがありました。決して多くを語ったわけでもないのに、たった一つの動作だけでそこまで感情を伝えることができるということにすごく感銘を受けました。ドラマと小説では表現方法がまた異なるかもしれませんが、私もいづれはそんな表現方法が出来るようになりたいです。

今の私の三人称の書き方は、ナレーター風の三人称に一番近いと思います。一応主人公はいるのですが、全てのキャラクターの心理や状況を知っている第三者(神)視点で語っていく書き方ですね。

一人称で書く場合は、もちろんそのキャラクターの主観から書くので思いきり1人のキャラクターに寄って書きますが、三人称の場合は全てのキャラクターの視点に寄せることができるナレーター風が今は一番書きやすいです。

一人称と三人称が混在した小説

明確に場面が変わる場合は視点を変えても違和感があまりないですが、一つの小説で視点をコロコロ変えると、混乱を招く原因にもなります。
絶対ダメだとは言い切れませんが、上手く書かないと失敗しますし、なるべく三人称と一人称は混ぜない方がいいのではないか、とずっと思っていました。複数キャラの一人称を切り替えるという変則技をやっておいておかしいかもしれませんが、三人称と一人称を混ぜるということは私の中でタブーだったのですね。

しかし、執筆のお仕事を始めてから、「この部分は三人称で、この部分はこのキャラクターの一人称で」というご要望を頂いたことも何度かあり、それに添って書かせて頂いたことがありました。

出来上がってみて思ったことは、視点を切り替える部分さえ気をつければ違和感はあまりない。むしろ客観的に世界観の説明もでき、部分的にキャラクターの心理も主観的に説明できるので、この手法はある意味一人称と三人称の良いとこどりなのかもしれない。ということでした。

もちろん、私とご依頼者様はストーリーの設定が最初から頭に入っているので混乱しなかった、というのもあるかもしれません。

三人称と一人称を混ぜる書き方というのは、難しく注意が必要だという考えは変わりませんが、ただタブーとするほどでもないのかなという方向に考えが変わりました。

小説の書き方というのも、流行りや時代によって変わっていくものでもありますし、色んな手法に挑戦してみるのも悪くないかもしれません。

そもそも依頼者様と私の一対一のやり取りの場合は、一般の形式に囚われる必要もありませんが( ´∀`)

結局どちらが書きやすいのか?

三人称は、一人称では書けない「主人公のいない場合でのやり取り」「主人公の知らないこと」をはっきり書けるというメリットがあります。

主人公がエスパーであれば、主人公の知らないことも書けるかもしれませんが、エスパーの主人公ばかりではないと思います笑

一人称は主人公の知っていることしか書けませんし、三人称でも書き始めてからは実は一人称の方が難しいのでは?と思うことが何度もありました。小説を書いていると、三人称の方が書きやすい場面というのが多々あるのです。

しかし一人称がデメリットばかりかというとそうでもなく、やはり一人称の方が読みやすい、と思っていらっしゃる読者様は多いように思います。実際私がご依頼を頂く時も、一人称指定の方が多いですね。

込み入った描写が必要となるファンタジーや推理物などは三人称の方が書きやすいかもしれませんが、心理描写を重視したい恋愛小説などは一人称の方が書きやすいかもしれません。三人称の恋愛小説も全然アリですし、込み入った描写も工夫次第では一人称でも書けますし、結局は好みとしか言えませんが……。

優月
優月
どちらが書きやすいかは、人によるということでしょうか

ハルちゃん
ハルちゃん
書きたいモノや何を目指しているかにもよるかもしれないね

まとめ

三人称と一人称のどちらがいいとは一概に言えないので、どちらも書いてみて自分に向いている方を見つけるのが良いのではないでしょうか。その時の状況次第で、自分の目指している方向性や求められているものも変わると思いますので、どちらも書けるようにしておくと幅も広がると思います。

優月
優月
何事も挑戦ですね!

創作活動, 創作について

Posted by 春音優月