【小説執筆】お仕事の実績サンプル12

こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。
管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

新しく公開許可を頂いたので、ご依頼で執筆させて頂いた作品の一部をサンプル公開させて頂きたいと思います。

今までの実績まとめ

羞恥系

※キャラクター名は、変更させて頂いております。

サンプル公開

「ごめんね、玲奈ちゃん。今度の仕事、新人の子に回すことになったよ」

レッスンを終えるなり、マネージャーからそう告げられた玲奈は正直落胆する気持ちが隠せなかったが、同時にまたかとも思った。

今年で20歳の玲奈は芸能事務所に所属するアイドルだが、正直知名度はほとんどない。胸はDカップだし顔も可愛いが、胸がそこそこ大きくて可愛い子なら芸能界にはゴロゴロいる。
玲奈よりも若い子は次々事務所に入ってくるし、売れる機会を逃してしまった玲奈に回ってくる仕事は小さなものばかり。たまに入る大きな仕事は、今のように土壇場になって変更となることがほとんどだった。

「そうですか、分かりました」

笑顔で返事をすると、玲奈はマネージャーに挨拶をしてから早足で事務所を出た。

「んんっ!?」

玲奈が事務所から出た途端、後ろからハンカチのようなもので口を塞がれる。訳がわからないまま玲奈も抵抗するが、数秒後には意識を失ってしまう。
玲奈の意識を奪った者は、玲奈を抱えて黒塗りの車に彼女を乗せると、そのままどこかへ走り去ってしまった。

「あれ……? ここは……?」

玲奈が目を覚ますと、そこは見知らぬマンションの一室だった。頭に違和感があったので触ってみると、いつのまにか頭部にはインカムが取り付けられている。

「お目覚めでしょうか?」

状況を把握する間もなくインカムから女性の声が聞こえてきて、玲奈は身体をビクリと硬直させた。

「え? え?」
「早速ですが、玲奈さんにはこれから私の指示に従って頂きます。それでは、まずは服を全て脱いでください」
「服を……ですか? なぜそんなことを? あなたは誰なんですか?」
「答える必要はございません。あなたはただ指示に従えば良いだけです」
「突然そんなこと言われても、……困ります」
「指示に従わなければ、今後あなたには仕事を一切回しませんので、そのつもりで」

淡々とした業務的な口調で恐ろしいことを言われ、玲奈は息をのんだ。

ただでさえ仕事がほとんどない状況なのに、今後一切仕事がなくなる?

そんなことが出来るということは、玲奈の事務所の関係者だろうか。もしくは、もっと大きな事務所の関係者か業界を牛耳る人だろうか。
そもそもなぜこんなことになっているのかも分からないが、とにかく仕事がなくなるのは困る。

「……分かりました」

悩みに悩んだ玲奈がしぶしぶ承諾すると、「服を脱いでください」と先程と同じ女性の声が耳元で再び響く。
業務的な口調のインカムに促され、玲奈は着ている服を一枚ずつ脱いでいき、下着だけになった。服を全て脱げとは言われたが、裸になるのにはやはり抵抗があったのか、玲奈の手が止まってしまう。

「下着も脱いでください」
「……はい」

玲奈が下着を脱ぐのを躊躇していると、インカムから軽く注意を受け、玲奈はためらいがちに下着を下ろす。ついに玲奈は下着も脱ぎ、全裸になってしまった。

「部屋のドアから出て、マンションのゴミ捨て場に向かってください。ゴミ捨て場はエントランスを出たところにありますので、すぐに分かるかと思います。そこに置いてあるシーツを身につけ、次の目的地へと向かってください。
目的地は、その都度指示を出します」

(えっ……。裸で外に出るの? 誰かに見つかったらどうしよう。でも、指示に従わなかったら仕事がなくなっちゃうんだよね。やるしかないのかな……)

全裸になった途端、インカムから聞こえてきた指示に玲奈は戸惑ったが、これも仕事のためだと意を決して玄関のドアを開ける。マンションのドアはオートロックだったらしく、玲奈がドアを閉めるとそのまま鍵が閉まった。

ドアを閉めた途端、玲奈は片手で胸、片手で下半身を庇うようにして、早足でエントランスに向かう。インカムの指示の通り、ゴミ捨て場はエントランスを出てすぐのところにあった。

ゴミ捨て場に着くと、玲奈はそこに置いてあったシーツを手に取り、人に見つからないうちにそれを身体に巻きつける。身体に巻きつけてみると、そのシーツは胸から膝下までを覆える程度の長さがあり、生地の厚みも透けない程度にはあった。


あとがき

全文公開許可頂きましたが、ここから先は年齢制限かかりそうなので、ブログでは自主規制しておきます。

羞恥もの、というのでしょうか?
初めて書いたジャンルでしたが、中々普段は書かないジャンルに挑戦させて頂き、大変勉強になりました。

自創作だとどうしても書くジャンルが偏ってしまうのですが、ご依頼で書かせて頂くものは多岐に富んでいますので、勉強になりますね。

中世風ファンタジー

※キャラクター名や地名は、変更させて頂いております。

サンプル公開

交易都市マーズは、人の出入りが多く、様々な種族が暮らしている大都市。大勢の人で賑わうマーズでは、護衛や探索依頼は元より、人探しや迷い犬探しまで、数多の仕事や依頼が日々発生していた。

誰かに依頼したい者がいれば、当然依頼を請け負いたい者もいる。人々からの依頼をこなす者たちは冒険者と呼ばれていたが、宿アイウェアに所属しているカリーナもまた冒険者のうちの一人であった。

「リーナ! 金も入ったし、飲みに行こうぜ!」
「いいね、行こうか」

チームとして一仕事を終え、報酬を得たばかりのカリーナは、同じチームの一員である狼の獣人フェルナムからの誘いを二つ返事で快諾する。カリーナが入っているチーム・アルディアは6人チームであるが、なかでも酒飲みで大雑把なカリーナはさっぱりとした性格のフェルナムとよく気が合い、連れ立って飲みに行くことが多かった。

馴染みの飲み屋に入った二人は、気前良く注文すると、出てきた料理を次々に食べ、酒を飲み、決して少なくはなかった報酬をあっという間に溶かしていく。
気持ちが良いくらいに豪快に飲み食いし、酒も入って騒いでいる二人を見て、その場に居合わせた二人の知り合いは彼女たちに声をかけたが、その他の者は遠巻きにカリーナたちを見ていた。

火属性の竜人であるカリーナは2本の角を生やし、180センチの長身は引き締まっていて筋肉質だったが、出るところは出ていてかなりのグラマラスな体型をしている。それに加え、高い位置で縛った鮮やかで美しいマゼンタ色の髪、所々に鱗のついた褐色の肌、細長い瞳孔をした黄緑色の瞳が人目を引く。パッと目を引く容姿のカリーナは、その場にいるだけで空気が明るくなるような生命力に溢れた美しさを持っていた。

美しく明るい性格のカリーナは当然人気があったし、彼女に声をかけたいと思う者は数多くいたが、マーズ市内の滞在が長い者ほど彼女を口説いても無駄だとよく知っている。
大抵の男はカリーナに惹かれても、隣にいるフェルナムを見て諦めるか、彼女の舎弟になるかだったが、今日偶然飲み屋に居合わせたとある男は少し勝手が違った。

その男は20歳と若く、マーズに来てまだ数日の冒険者だったが、彼の出身の田舎の方ではそれなりに名の知られた人間であった。
若い冒険者は、豪快に大酒を飲み大口をあけて笑っているカリーナの姿に一目惚れし、無謀にもカリーナたちの方に近づいていく。

「あの、すみません。少しいいですか?」
「誰だい? あんたは」
「僕はアーサーと申します。あなたの名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「あたしはカリーナだよ。それで、アーサー。あたしに何の用?」

気分良く飲んでいたところに突然声をかけられ、カリーナは多少驚いていたようではあるが、元々人見知りするたちではない。礼儀正しい口調で話しかけてくるアーサーにあっさりと応じてやっていた。

「少しお話したいので、二人で飲みませんか?」
「おいおい、俺様も目の前にいるのが見えねぇのか?」

なんとなくアーサーの魂胆を察したフェルナムが即座にそう言ったが、アーサーはそれにも怯まずにカリーナをじっと見つめている。
フェルナムは182センチと体格も良く、左目には眼帯をつけ、頭には狼のようなピンと張った黒い耳を生やし、見るからに強そうな狼の獣人で、顔立ちも整っている。そんなフェルナムが隣にいる時点で、カリーナのことを口説く勇気を無くす者がほとんどだが、予想外にアーサーの肝はすわっているようだ。

「あんたと飲むのは構わないが、見ての通りツレがいるんでね。どうしてあたしと二人で飲みたいんだい?」

明らかにカリーナを口説こうとしているアーサーのことをフェルナムは警戒しているようだが、自分の容姿の良さに無自覚なカリーナはあまり気にかけていない様子だ。

「あなたに一目惚れしました。もし今お付き合いされている方がいなければ、ぜひ僕も立候補させて頂きたいと思いまして」
「おっと、ずいぶんストレートに口説くね」

アーサーのストレートな物言いにもカリーナは動じている様子はなかったが、それでも多少は驚いたようで少しだけ眉を上げる。

一方フェルナムはというと、機嫌の悪さを隠そうともせず、アーサーを睨みつけていた。フェルナムは男女問わず人当たりが良く、誰とでもすぐに打ち解けるが、自らが群れと認識しているチームに害をなす者に対しては別だ。

カリーナとフェルナムは恋人同士ではないし、どちらも相手に恋愛感情を抱いてはいない。しかし、恋愛感情とは違うものにせよ、フェルナムはカリーナをとても大切に思っており、たまに変な輩に口説かれるカリーナを常に気にかけていた。アーサーが変な輩かどうかは定かではないが、素性の知れない人間ということもあるし、目の前にいる自分をこうまで無視して話を進められては、人当たりの良いフェルナムもさすがに気を悪くせずにはいられない。

「だけど、悪いね。あたしは自分より強い男が好きなんだ。あんたじゃ話にならないよ。出直してきな」

フェルナムが機嫌の悪さを前面に押し出しているなか、カリーナはアーサーに口説かれて嬉しそうにするでもなく、嘲笑するでもなく、そんな言葉であっさりと一蹴する。

危険な仕事を担うことが多い冒険者たちはチームを組む者も多いが、仕事中の怪我が原因で引退したり、チーム内で揉めたり、最悪死亡してしまったりすることも多く、誰かしらメンバーが欠けてしまうことも多い。

しかし、カリーナとフェルナムが所属するアルディアは結成して六年も経っているにも関わらず、結成当初から誰一人欠けていないベテランチームだ。
ただ長く続いているだけではなく、邪竜や伝説的に有名なお尋ね者の討伐、遺跡の攻略などこれまで数多くの大きな功績を上げており、国内外に名が知られている。チームとしての武力は、準備さえ怠らなければアルディアの六人だけで一国を落とせると言われているほどだ。

チームとしてのバランスが優れていることはもちろん、個々人の実力も飛び抜けており、なかでもカリーナは魔物戦や素手での戦闘では彼女に敵うものがいないほどの実力を持っている。一対一の戦闘でカリーナに敵うものがいるとすれば、マーズ市内では同じチームのフェルナムぐらいのものだし、そもそも彼女に挑もうというものなど中々いないだろう。

自分の実力をよく知っているカリーナは、見たこともないような若い冒険者のアーサーが条件に当てはまらないと早々に判断を下したわけである。

しかし、カリーナから軽くあしらわれても、アーサーはめげなかった。

「僕とあなたのどちらが強いかは、戦ってみなければ分かりません」

あろうことか、マーズ市内で最強と言っても過言ではないカリーナにそのようなことを言ったのである。

アーサーのこの発言には、これまで成り行きを見守っていた飲み屋に居合わせた人々もさすがにざわついた。

「カリーナさんにあんなことを言うなんて……」
「なんて命知らずな……」
「あの男、あのアルディアのカリーナを知らないのか?」

飲み屋の人々がざわつくなか、カリーナは面白がって口の端を吊り上げた。

「へぇ。ずいぶん自信があるみたいだね。そこまで自信があるのなら、一度あたしと手合わせしてみるかい?」
「はい、ぜひお願いさせて頂きたいです」

カリーナの提案に即答したアーサーに対し、フェルナムは正気を疑ってしまったが、カリーナは楽しそうな笑い声をあげた。

「いいねぇ。それじゃ行こうか」

声を立てて笑いながら、カリーナは椅子から立ち上がる。

カリーナは、ちょうど退屈していたのだ。殺すか殺されるかのスリルが味わえるような戦闘を楽しみたいのに、この辺りではカリーナより強い者はめったにいないため、そういった戦闘をする機会もない。それどころか、チームとして名を上げてからは、カリーナに挑もうという者もめっきり減ってしまった。
唯一フェルナムとは決着がつかないようなハラハラする戦闘を楽しめるが、フェルナムとばかり戦っているのでは張り合いがない。

アーサーの実力がどの程度のものかは分からないが、カリーナは自分に挑もうというアーサーの気概を買ったのである。

「フェル、少し外すよ。悪いけど、あたしが帰ってくるまでの間はその辺にいるやつと適当に飲んでてくれるかい?」

カリーナに声をかけられると、いつアーサーを止めようかウズウズしていたフェルナムも即座に立ち上がった。

「俺も行くぜ。勝負を見届けるやつが必要だろ?」

ノリの良いフェルナムもカリーナと一緒で、戦闘も含めワクワクすることや楽しいことが大好きだが、仲間に危害を加えるかもしれない怪しいやつは別だ。カリーナが戦闘好きなこともよく知っていたので止める気はなかったし、そもそもカリーナに勝てる者もそうそういないだろうが、万が一ということもある。

「それもそうだね。アーサーはフェルが一緒でもいいかい?」
「僕は構いません」

フェルナムが着いてくることを二人が了承したことにより、三人は連れ立って飲み屋を出て行った。もちろん飲み屋の店主に「また戻ってくる」と言い残して。

外に出ると、もう遅い時間ではあったが、飲み屋の周囲はそこそこ人の行き来があった。三人は少しだけ歩き、人気の少ない路地裏に移動すると、そこで手合わせをすることを決める。

少し狭いが、屋外での戦闘はカリーナの得意分野だ。

「誰もいねぇし、ここでいいんじゃねぇか?」

フェルナムはアーサーが不審な動きをしたらすぐに動けるよう神経を尖らせつつ、カリーナたちに戦いの準備をするよう声をかける。

「そうだね。じゃあ、早速始めるかい」
「はい、よろしくお願いいたします」

アーサーが一礼すると、カリーナは身の丈ほどもある大剣を構え、ニッと笑う。それを見たアーサーも、すぐに鞘から剣を抜いた。

先に切り込んでいったのは、アーサーだった。素早くカリーナの懐に飛び込もうとするが、カリーナはゆったりと構え、大剣を盾がわりにしてアーサーの攻撃を防ぐ。
しかし、いましがたカリーナに攻撃を仕掛けたばかりのアーサーはいつのまにかカリーナの背後に回っていて、後ろから切りかかる。少し遅れてアーサーの存在に気がついたカリーナも対処しようとするが、わずかにカリーナの動きの方が鈍かった。アーサーの剣の切っ先はカリーナの頬を擦り、小さな切り傷をつける。

大口を叩くだけはあって、それなりには出来るようだ。カリーナは「面白いね」と呟き、傷のついた頬を拭う。すると、カリーナの頬にあった切り傷は一瞬で消えてしまい、元通りに修復されてしまった。

回復魔法もかけていないのに、自己治癒力のみで一瞬で傷を治してしまうものを初めてみた田舎出身のアーサーは、信じられない光景に目を見張る。

アーサーの集中が途切れた隙に、ヴェロニカは一気にアーサーの元に飛び込み、彼の胴を蹴り飛ばす。筋力が高いカリーナの蹴りをまともに食らってしまったアーサーがその場に尻もちをつくと、カリーナは大剣をアーサーの喉元にぐっと押し当てた。

「リーナの勝ちだな」
「……そう、ですね。僕の負けです」

二人の戦いの行方を見守っていたフェルナムが一言発すると、アーサーも素直に負けを認め、カリーナは彼の喉元に当てていた大剣をしまった。

アーサーも自分の実力には自信があったのたが、勝負は一瞬でつき、あっさりと負けてしまった。所詮は井の中の蛙であったことを悟り、アーサーはぐっと拳を握る。

「これに懲りたら、もうリーナのこと口説こうとすんなよ? お前じゃぜってぇ勝てねぇから」

悔しそうにその場でうつむいているアーサーの肩を、フェルナムがなぐさめるようにポンと叩く。

「いえ、僕は諦めませんよ。これから経験を積み、もっと強くなり、いつかカリーナさんを超えてみせます。その時には、もう一度口説かせてもらえませんか?」

フェルナムの言葉に上を向くと、まだ懲りずにそんなことを言うアーサーにフェルナムも面食らったが、すぐにニッと笑った。

「ったく、諦めの悪りぃやつだな。どうする? リーナ」
「あたしに勝てたら、その時は考えてやってもいいよ」

フェルナムが楽しそうに笑うと、カリーナもわずかに笑みを浮かべる。
かすり傷とはいえ、カリーナに一撃でも入れることが出来たのだ。まだ若いのに見込みがあるし、アーサーが口だけではないことを知り、カリーナもフェルナムも多少はアーサーのことを認めたのかもしれない。

二人ともワクワクするようなことやスリルが大好きだ。自分に挑んでくる者は大歓迎。それが強い相手であれば、なおさらだ。

「さ、立て立て。リーナとの勝負もついたことだし、とりあえず飲むぞ」

今まで警戒心をむき出しにしていたフェルナムから誘われ、アーサーはえ……と目を丸くしていたが、カリーナからも「さっさと行くよ」と促され、のろのろと立ち上がる。

カリーナを口説くにはアーサーの実力は到底足りないようだが、どうやら飲み仲間としては認められたようだ。

あとがき

ご依頼者さまの創作キャラクターの小説を書かせて頂きました。とても素敵な設定の世界観・キャラクターさんで、楽しく執筆させて頂きました!

まとめ

ブログに公開できるサンプルが少ないのですが、こつこつ執筆のご依頼をお受けしております。
現代もファンタジーも、恋愛もそうでないものも色々書かせて頂いておりました。これからも地道にがんばります……!

創作活動, お仕事の実績

Posted by 春音優月