自作小説『プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負』ifストーリー~みどりと秀の場合~


こんにちは、『優月の気ままな創作活動』にお越し頂きありがとうございます。

管理人の春音優月(はるねゆづき)と申します。

今回は、また前のブログに置いてあったSSのお引っ越しです。自作小説の番外編なので、例によって思い切りネタバレしてますが、よろしければ本編未読の方もぜひ読んでいってくださいませ。

本編の小説情報

小説のリンク先は、小説投稿サイト 野いちご です。

『プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負』
【青春】【ギャルと野球少年】【甲子園】
2015.10.01~2016.07.08
惚れっぽくて飽きやすいギャルが、年下野球少年に本気の恋をして、一緒に甲子園を目指すお話。

小説紹介のブログ記事はこちらから

ifストーリー『みどりと秀の場合』

『プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負』 ifストーリー
~もしも、みどりが秀を選んだらこうなる(かも)~

甲子園球場の青い空。
グラウンドには泥と汗にまみれた球児たち。それから……、深紅の優勝旗を持つあたしの幼なじみ。

宣言通り春夏連覇を果たした幼なじみを、アルプススタンドから見つめる。

すごいよね、あいつは。
言ったことは何でも成し遂げちゃうんだから。

甲子園優勝だけでなく、あの言葉も結局……。

───みどりを俺の嫁にする。

言われた時はバカバカしいと思ったはずなのに、今からあたしは結局秀の思惑通りに行動しようとしていることが、なんだか悔しい。悔しいし腹立たしいけど、でも……。

きっと、この気持ちには逆らえない。

***

三日後、ようやく甲子園の騒ぎも落ち着き、秀が自宅に帰ってきたと聞きつけ、やつの部屋に上がり込む。

「甲子園優勝おめでとう」

「ありがとう」

連絡もなしに突然上がり込んできたあたしに動じることもなく、いつものようにすました笑みを見せる秀。

秀が腰掛けているベッドの隣を無言でポンポンされたので、遠慮なくどっかりと座らせてもらう。

「お祝いしにきてくれたの?」

「まさか。あたしらを負かしたチームのお祝いなんてするわけない」

そう、あたしがついこの前までマネージャーをしていたチームは、秀たちのチームと対戦して、そして負けた。

「はは、だろうね。じゃあ、なにしに?」

イヤミを言ってるにも関わらず、相変わらず全く動じない秀にイラッとしながらも、今日きた目的を達成しようと口を開く。

「告白しにきた。
あたし、秀と一緒にアメリカに行く。
以上」

「……え?ってそれだけ?
もっと他に何かないの?」

今までは何を言ってもポーカーフェイスだった秀も、さすがに少しは動揺してるみたい。ていうか、そうじゃないと困る。

あたしが恥を忍んで一世一代の告白してるのに、無反応だったら殴るとこだった。

「それ以外に何が必要?
世界で一番秀を愛してる~、とか言ってほしいわけ?」

「いや、いいよ。
みどりが俺を愛してることは、ずっと前から知ってるから」

こうなるって最初から知ってた、みどりは俺のものだからね。と、一瞬だけ動揺をみせたことが嘘みたいに、もう不敵に笑っている秀。

本気でムカつく。

「あー、はいはい。結局はアンタの思い通りってわけね」

決めたのは自分なのに、結局は全て秀の良いように物事が進んでいると思うと、やっぱり腹立たしい。

イヤミったらしくそう言うと、秀は薄笑いを浮かべた後に、急に真顔になり、黙り込む。

「……なに?今度はどうしたのよ」

「ああ……いや、さっきはついあんなことを言ったけど、本当はみどりが俺を選ぶとは思わなかった。一輝くんはよかったの?」

いつもすました顔をした秀が、めずらしくしんみりとした様子でベッドのシーツを見つめている。

何を言っても動じないのもムカつくけど、これはこれで調子が狂う。

「選ぶ……つもりだったけど、選ぶ必要もなかったみたい」

一輝くんは、冬に別れたあたしの元カレ。

今までたくさんの男と付き合ったけど、一輝くんはあたしが初めて本気で好きになったひと。特別なひと。

これからも、ずっと。

「え?」

一輝くんと秀は、全然違う。
あたしの運命のひとだと信じていた一輝くんに感じた気持ちは、秀には感じない。

秀といてドキドキするかって言われたら、ぶっちゃけよく分からない。もう昔から一緒にいて、空気みたいな存在だから。

それに、甲子園の前に和解して、友達に戻ったあとも、本当は一輝くんに未練はあった。

だけど、甲子園が終わったあと。
どうするか迷うまでもなく、一輝くんのところじゃなくて、あたしの足は秀の元へと向かっていた。ごく自然に。  

秀に恋なんて絶対してないし、そもそも秀だってあたしに恋してるかどうかあやしい。

それでも、秀は誰と付き合ったり別れたりしても、唯一離れなかった、たったひとりのひと。

あたしが今まで秀と一度も付き合わなかったのは、秀を失いたくなかったから、この関係を失いたくなかったから。

一輝くんは、今でも大好きで大切なひと。
秀は、失いたくないひと。

どっちにだって、優劣なんてつけることができない。

なんでいま、あたしが一輝くんじゃなくて、秀のところにいるのか、自分でもよく分からないくらいなんだから。

昔からずっと一緒の幼なじみの秀とあたし。

あたしたちの間にあるものに名前なんてつけられなくても、たぶん、きっと……。

「きっと、選ぶまでもなく、最初から、あたしは秀のものだったのよ」

(おしまい)

あとがき

みどり×秀をリクエストして頂いたので書いてみました。
みどりは揺れてるようで、実は一輝くんから全くブレない子なので、他の男の人が相手となると難しくて、かなり悩みました。難しかったけど、書いていてすごく楽しかったです。本編ではくっつかなかった組み合わせを考えるの楽しい。チャレンジしがいのあるお題でした( ´艸`)

創作活動, 短編・番外編

Posted by 春音優月